舌下免疫療法「シダキュア」と歯科治療

「花粉症舌下免疫療法」というアレルギーの治療が増えてきました

この治療で使用する「シダキュア」というお薬が歯科治療を行う際に、重篤な副作用が引き起こされることがあるという報告がありました。

ダニの舌下免疫療法の薬「ミティキュア」でも同様の副作用の報告もありますので、注意が必要です。

シダキュアとは

シダキュアはスギの花粉症の治療に使用するお薬で、スギ花粉を原料とするエキスから作られています。
アレルギーの原因物質を少量から服用することで体を慣らしていき、スギ花粉による花粉症状(アレルギー症状)を和らげます。
アレルギー症状がない時期でも、一度服用を始めると長期間(1~3年)毎日服用する必要があります。
舌の上に乗せるとすぐに溶ける錠剤です。溶けた後は舌の上にのせたまま1分ほど待ち、飲み込みます。

歯科治療での副作用

歯科治療の中でも抜歯などの外科処置を行う際は注意が必要になります。
傷口からお薬の成分が入り込むと、アナフィラキシー症状を引き起こすことがあるそうです。
アナフィラキシー症状とは、皮膚のかゆみや、嘔吐下痢などから、重篤な場合は咽頭がむくみ、気道が狭くなり呼吸困難、意識の混濁などがみられます。
特に奥歯の抜歯を行うと腫れることが多いようです。

これらの薬剤に関する添付文書には、「抜歯後、口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症がある場合には、口腔内の状態を十分観察し、本剤の投与可否を判断すること。口腔内の状態においては、本剤の吸収に影響を与える恐れがある。また、本剤が傷や炎症部位に刺激を与える恐れがある。」という記載があります。

特に、使用開始後1ヶ月以内にアレルギー反応が起こる可能性が高いと言われているため、注意が必要です。そのため、これらの薬剤を使用している患者様は、ご来院時にお伝え頂きますようにお願いいたします。

国内にも海外にもまだ明確な基準になるようなガイドラインはありません。
歯科治療が終わってからの投薬開始を薦める病院もあるようです。
シダキュアを服用されている方は歯科にかかる際は必ずお伝えください。
安心安全に治療を進めるために内科の先生と連絡を取ることがあります。場合によっては服薬を止めていただくこともあります。
ご協力よろしくお願いします。

お子様が服用されているとき

5歳から服用可能なお薬ですが、抜歯後のアナフィラキシー症状は大人より子供の方が症状が発現しやすいようです。
また、前述したとおり、「抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等があるとき」は注意が必要です。早ければ4歳ごろから歯の交換期に入ることがあります。
手引書には「歯が生え変わる時は、事前に医師に対応方法等を確認しておくとよいでしょう。」 と書かれています。
お気を付けください。