4歳未満で乳歯が抜けたら要注意!

通常、乳歯が抜け始めるのは6歳頃からです。
しかし、極稀に4歳未満で乳歯がグラグラになって抜けてくることがあります。
そのような場合、難病に指定されている「低ホスファターゼ症」の可能性があります。

通常、乳歯が抜けるのは6歳頃

通常、乳歯が抜け始めるのは6歳頃からです。
大人の歯が生えてくるのに伴い乳歯の歯根が吸収して短くなり、グラグラになって抜けていきます。

対して、低ホスファターゼ症の場合は、4歳未満で、ほとんど根吸収のない乳歯が自然に脱落するのが特徴で、1本に限らず複数本の場合もあります。
根吸収がないため、抜けた歯の根は細長く、とがっているのが特徴です。

なぜ乳歯が早期に抜けてしまうの?

健全な乳歯は、歯根膜を介して歯と骨が接着しています。
しかし、低ホスファターゼ症の人は歯の表面のセメント質がうまく形成されません。
このため、歯と骨の接着部分に異常が生じ、歯と骨の接着が弱くなります

低ホスファターゼ症とは

低ホスファターゼ症とは、骨格異常を起こす、遺伝性の骨の病気の1つです。
骨を作るための酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)の働きが低下することによって引き起こされます。
これにより全身の骨の形成が不十分となるため、様々な骨格系の異常が生じます。
また、歯や骨だけでなく、神経系・呼吸器系・腎臓・関節・筋肉などにも様々な症状が現れることがあります。

さらに、その症状は生涯に渡って継続し、進行性であるという報告もあります。
低ホスファターゼ症の98.6%が乳歯の早期脱落を経験しているとの報告があります。
このため、乳歯の早期脱落は低ホスファターゼ症の早期発見にきっかけになります。

低ホスファターゼ症が疑われる場合

低フォスファターゼ症が疑われる場合、小児科の先生に紹介し、精密検査を行うことになります。
体内のALPの値を検査し、正常値よりも低い場合に低ホスファターゼ症と診断されます。

2015年に足りないアルカリホスファターゼ酵素を補充する酵素薬が承認され、治療に使えるようになりました。早い時期にこの病気だとわかれば、症状を改善する治療を受け、病気とうまくつきあっていくことができます。まれな疾患ですので、一般の歯科医にはこの病気の知識が乏しい人も多いのが現状です。抜けた歯を持参して「低ホスファターゼ症ではないか」とご相談ください。

参考サイト

HPPガイド~低ホスファターゼ症~

日本小児歯科学会HPPガイド

Medical Note 低ホスファターゼ症とは(大阪大学歯学部 仲野和彦先生)